仕事の場で「イエスマン」が嫌われるわけ


仕事の場で「イエスマン」が嫌われるわけ




 

 アメリカのコメディ映画『イエスマン』は、普段あらゆる出来事に無気力で、「ノー」と答えている銀行員が主人公です。友人に誘われたセミナーに参加することで全てに「イエス」と答えなければならなくなり、人生が変わっていくお話です。




 ところが通常「イエスマン」は、悪い意味として使われます。上司や役職者の言うことをハイハイと聞き、無理難題を軽々しく引き受けてしまうイメージが強いです。




 何でも断る「ノーマン」よりは、ハイハイ言って引き受けてくれる方がよっぽど良い行為のはずなのに、なぜ一般的には良くないイメージなのでしょうか?




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駄目なイエスマン、良いイエスマン




 私が思うに、イエスマンが非難されるのは「発言に自分がいない」からだと思います。返事のイエス・ノーというよりも、機械的な対応に相手はイラつくのです。




 例えば仕事を頼まれたとき、自分ができそうにないと思うケースは、働いていればしょっちゅうあります。締切、内容、体調、人員など、できない理由や自分のキャパシティーを考えずに「はい、やります!」と返事して結局できなければ、本人の信用はガタ落ちします。




 でも逆に「無理です」とズバッと断れば、依頼者には「融通の利かない人だな」とガッカリされます。もちろん仕事ではやらなければいけないこともあるので、断ること自体で怒られることもあります。




 でも「依頼内容だと自分には難しそう(=No)ですが、こんな形ならできます(=Yes)」と答えられれば、どうでしょうか? 




 ただ安請け合いしたり、断る場合より、相手の感じ方や対応も変わってくるはずです。もし締切が厳しいのならば、「今は忙しい(=No)のですが、1週間後までならできます(=Yes)」と答えて、相手の緊急度合いを伺うこともできます。




無理難題に対しての答え方とは




 特に接客をはじめとする対人のサービス業は、お客さまから無理難題を要求されることがあります。「〇〇してほしい」という要望に、店側として応えられないときもあると思います。自分の判断では対応が難しくても、目の前でお客さまが返事を待っているときもあるでしょう。




 私はそんなとき、何でも肯定や否定から入るのではなく、まずは「自分」がどう感じているかといった気持ちや、状況を共有し、説明すべきではないかと思います。 




 考えずに機械的にイエス・ノーを言っているために、お客さまや上司から信頼を失う機会はたくさんあります。大事なのは、返答内容にかかわらず、まずは相手の話をしっかり聞き、受け止めることだと思うのです。


 

 価格以上のサービスやルール外の接客を常時、無償で提供することは、とても危険な行為だと最近では感じるようになりました。戦略があるのならまだしも、本来ならばとても価値ある行為を当然のように求めていくことは、現場の疲弊や離職の原因にもなり得ます。




 だからといって、頭から「これはできません」と突っぱねるのも、本来できないことまで「できます」と言うのも、やはり無責任なことだと思います。




「できる」にも「できない」にも、説明が必要です。説明ができれば、発言の見え方は変わってきます。機械ではなく、個人の発言になるからです。




 無理そうなことを「引き受ける」と決めたなら、単にイエスと答えるのでなく「本当は難しいけど、今回だけ頑張ってやってみます」と、きちんと相手に伝えるべきです。




 そして、もしできない場合でも、「イエスに近づけるためにはどうすればいいか」「イエスにはできないけれど、これならできる」を、きちんと検討して掲示してみてください。




 こうした姿勢を見せて状況さえ共有できれば、相手側が事情を理解して要望を変える、取り下げるケースも多いはずです。




イエス・ノーは、極論どちらでもいい


 

 販売員なら、一度はお客さまから個性的なデザインのアイテム、結婚式やリゾート用の洋服について「着回しできますか?」と聞かれたことがあると思います。「できます」「できません」、私はどちらの回答でもいいと思っています。




 大事なのは、その後です。「できる」と答えたなら、実際のコーディネートパターンを幾つもその場で見せましょう。「できません」なら、そのアイテムが限られたシーンを楽しむためにぴったりな商品であることや、この組み合わせの着方が一番すてきに見えるのだと商品の魅力を伝えてください。




 イエス・ノー、どちらの答えも、状況次第で正解にできます。そこまで提案できれば、一気に相手との距離は縮まります。




 仕事でも、引き受けるときには「頑張ります!」という一言を付ける、断る際にも本音で「すみません」と言える人であれば、少なくともその行為自体で評判は落ちません。




 映画『イエスマン』の物語の核心では、主人公の彼がイエスと即答できなかった質問について、なぜすぐにイエスと言えないのか、何でも肯定するだけで本当にいいのかなど、人間関係を含めたドラマが描かれます。視聴後、なかなか現代の本質を突いた作品だと思いました。




 少し下世話な表現やツッコミどころもあるのですが、基本的には笑える作品なので、興味のある方はぜひ結末をご自身で確かめてほしいと思います。もちろん、答えは「イエス」「ノー」どちらでもかまいません。



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