なぜAppleはGoogleに遅れるのか? 「モノ発想」と「サービス発想」の違い

なぜAppleはGoogleに遅れるのか? 「モノ発想」と「サービス発想」の違い

初代発売10周年を記念し、先月発売されたiPhoneX。

利用者の顔を認証してロックを解除する機能を初めて搭載したほか、「アニ文字」の機能も登場した。



電話のアイコンが「スマホ」になった時は「スマホ」はない?



Apple本社で副社長、日本法人でも社長を務め、現在は株式会社リアルディア社長の前刀禎明氏から見たiPhoneXとは? Appleの新たな挑戦、未来について聞いた。(聞き手:佐々木紀彦NewsPicks編集長) 佐々木:

新たな挑戦として、iPhoneのさらなる進化はもちろんですが、自動運転などさまざまな分野に出ています。どう見ていますか?



前刀:

Appleの可能性を示す時に、「どれくらい人の生活に密着するのか」があります。もともとAppleはデジタルライフスタイルといって、音楽・映像などがある生活を重視させてきました。



特にアメリカは、車がなかったら生活できないので、そういうところにAppleが入っていくのはありです。ただ、残念ながらものすごく遅れている感があります。



佐々木:

存在感がないですね。



前刀:

Googleのようにあれだけやっていれば、先行して実際にやっている企業の知見がたまっていくので経験値は重要です。



佐々木:

なぜ、Appleはお金があって人材もいるのに、Googleに遅れちゃうんですか?



前刀:

一番の違いは「Appleはメーカー」だから。Googleなどのようにサービスを起点にして物事を考えていくことと、ハード・デバイスから考えていくことにはズレが生じます。



佐々木:

自動車を作るという意味では、メーカーとして相性がよさそうですね。



前刀:

車というハードに最適なプロダクトデザインやインターフェイスなどを考えていくことはできるかもしれない。質感のいいインターフェイスやデバイスを付けると、車が進化することはあるかもしれないです。オシャレ度で言うと、Amazon・Google・Appleと比べたら、Appleがダントツにいいですもんね。



視聴者からの質問:

iPhoneの次のハードウェアは何がくると思いますか?



前刀:

Apple Glassがくると言われていますが、ウェアラブルという領域をクリアできるか、ということがひとつ。それから、Apple Watchはシリーズ3になって、Cellularモデルが出てきたことがある意味で画期的。単独で使えます。ただ、画面が小さい。なので、画面がふわっと目の前に出てくるような技術を搭載してくれたら、もうiPhoneがいらない。



佐々木:

それは、買いますね。



前刀:

面白いのは、スマホの電話のアイコンを見てください。黒電話の受話器の形をしている。何年か後の電話のアイコンは、スマホになっていたりするんです。しかしその時に、スマホはない。だけど、次のデバイスとしては、Apple Watchがウェアラブルの進化として、iPhoneの代わりになるのであれば、ディスプレイなど表示機能が変わってくればありだと思います。

 

Appleの宿命を実現するためのカギ



佐々木:

Appleの未来を語っていきたいと思います。ワクワクして、進化するAppleらしい宿命を実現するためには、何がカギになると思いますか。



前刃:

キーワードは、持続可能な感動。「イノベーションにより便利になれば人が豊かになるわけではない。喜びのあるライフスタイルが求められる」



佐々木:

どういうことでしょうか。



前刀:

Appleが考えているエコシステム・実際のライフスタイルは限られた領域なんです。



Amazonはとことん生活密着の素晴らしいサービスを持っていて、これは結構敵わないかもしれない。ですが、人はいろいろなことが便利になったとしても、便利さは慣れると感動しなくなります。



人として生活が豊かになるわけでもない。そうではなくて、常に喜びにつながったり、感動し続けることができる、そういったものをAppleは作るべきだと思います。それはできると思います。



佐々木:

作り続けるのは相当大変ですよね。



前刀:

大変じゃないことをやっても、誰も喜ばないし、感動しない。やっぱり、「わぁ!」っと夢を見させてくれるようなことを追求してほしい。



佐々木:

感動のハードウェア・ものはカギになる?



前刀:

直接触れる部分の質感は、ものすごく大事。例えば、目の前に超高級なテレビがあったとして、手に持つリモコンが汎用のプラスチックだったらガッカリするじゃないですか。



質感の高さはものすごく重要だと思っています。ただ、メーカーの限界は「モノ発想」です。AmazonやGoogleのように「サービス発想」で、あくまでもハード・モノはそのツールだという発想をした時には、まったく別のアイデアが生まれることがあります。



Amazon GOなんてそうですよね。例えば、QRコードやチップでもいいですが、チップをスキャンして会計するという仕組みではなくて、カメラで撮ってAIでディープランニングで見ちゃえばいいんじゃないかという発想。この発想の違いは大きい。Appleはそれを凌駕できるかどうかというところ。



佐々木:

楽観的ですか?



前刀:

かなり苦しいと思いますが、頑張ってほしいですね。



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