「iPad Proだけで仕事ができる」はホントかどうか試してみた


「iPad Proだけで仕事ができる」はホントかどうか試してみた


 

「iPad Proだけで仕事ができる」はホントかどうか試してみた

iPad Pro 10.5+Smart Keyboardを3週間使ったレビューを記事にしてから、怒涛のような質問責めにあっている弓月ひろみです。



その質問のほとんどが「本当にiPadだけで仕事ができるのか」ということ。私は、iPad Proと一緒の生活にすっかり慣れ、MacBook Proに、ほぼ触れない生活をしていますが、全ての人に「いますぐパソコンを捨ててiPad Proだけの生活にしろ!」とは言いません。



iPad Proにも得意・不得意がことがあるため、仕事で使うにしても当然向き不向きがあるのです。



​​​​​​今回は、私のもとに寄せられた質問を元に、その実態を解説していくことにしましょう。


質問1 「テキスト入力と編集の実力が知りたい!」




文章を書く、メールを送るなど、テキスト中心の作業なら、iPad Pro+Smart Keyboardはほぼ無敵。この記事で書いたように、キーボードはとても優秀。この原稿もiPad Proで書いています。操作が大変心地よいので、目の前にMacBook ProがあってもiPadをつかう始末。SmartKeyboardで使える主なショートカットキーは下記の通りです。



ホームボタン:command + H



検索:command + スペースバー



App の切り替え:command + tab



すべてを選択:command + A



カット:command + X



コピー:command + C



ペースト:command + V



太字:command + B



斜体:command + I



※公式ページから引用



SmartKeyboadのcmdキーを長押しすると、ショートカットの一覧が表示されるので、こちらも参考にしてください。







▲アプリによって、使えるショートカットは変わります。こちらは「メモ」のショートカット。



普通にテキスト入力をするならiOSの純正メモが使いやすいです。iOSデバイス間での同期がスピーディで、手書きも可能、写真も追加できるなど、かなり便利です。



ただし文字装飾が可能なリッチテキストフォーマット(rtf)なので「メモをメールにコピペしたら、文字が不自然に大きくなる」といった現象が起きることも。純粋なシンプルテキストを作りたいときには、テキストエディタアプリ「Wrix」がオススメです。



SkyArts「Wrix - 超高機能テキストエディタ」







Wrixは「.txt」形式のテキストを作るのに最適なエディタです。ライターという職業上、エディタには文字カウントが必須なのですが、このアプリは複数ファイルをタブで開いたまま作業できる他、常に右下にカウントが出るのがありがたいところ。







iPadのスプリッドビューを使えば、PDFやWebを見ながらテキストが書けます。基本は無料アプリで、機能を追加購入していくタイプ。有料でキーマクロを追加できるのも好ポイントですね。



テキスト作業が多いなら、クラウド上のノート、Evernote、OneNote、Bearなども、全てインストールすることをオススメします。使い勝手には好みがあるでしょうから、まず試してみるのが一番です。



万一の電源切れや破損の際、クラウドにデータが保管されている安心感は、どのサービスでも同じ。ネットワークに繋いで同期することを忘れないでくださいね。


 

質問2 「Excelを多用する職業だが、iPadは使い物になるか?」




Excelのシートにデータを大量に入力する、マクロをガンガン埋め込む...と言った作業に、iPadは向いていません。数字キーのついたBluetoothキーボードを別途購入するなら別ですが、この作業なら、デスクにしっかり座って大きなモニターを見ながら、ガリガリ入力する方が良いでしょう。



ただ、iPad Proは、確認と修正には向いています。例えば移動中、送られてきたデータを開いて見る。送付する前に最新版に修正する、などの作業は大の得意。「あっ、数字が間違ってる」という時に、手元でサッとなおせるのも魅力です。Excelのヘビーユーザーには、パソコン+持ち出し用のiPad Proという組み合わせをオススメします。







▲Excelのサンプル画面。グラフもキレイ。



なお、iPadのExcelを仕事で使うには、Office365のサブスクリプション加入が必要です。どうしても無料が良いなら、Appleの純正アプリ「Numbers」を使いましょう。Excelとの互換性があり、データの確認・修正・追加・新規作成が可能。Excelアプリに直接エクスポートできます。





▲MacユーザーにはおなじみのNumbers。計算もテキスト、画像配置も得意でわりと万能。



さらに、Googleが提供するGoogleスプレッドシートを使えば、Excel同様の作業がほぼ無料でできて、ネットワークを通じたデータ共有、同時編集も可能。好みで使い分けてください。



Google「Google スプレッドシート」


 

質問3 「マウスがなくても、パソコンライクに使えるのか?」




画面上のポイントを押さえたい、細かい微調整がしたいなら、Apple Pencilがマウスの代わりになります。ただ、正直な話、使い慣れた環境や、手のクセはそう変わるものではないので、「パソコンライクに使いたいけど、マウスがないとイライラする、落ち着かない」という人にiPad Proは向きません。トラックパッド派の人は、手元で操作していた動きが画面に移動するだけなので、比較的スムーズに移行ができそうです。



キーボードから画面までに、手を伸ばすストロークは10cmほど。「画面を触ることへの抵抗をなくせるか」もキモと言えそうです。


質問4 「YouTuber的な、動画編集はどのぐらいできる?」




iPad Pro10.5は、プロセッサーA10X Fusionのおかげで処理速度がとにかく速いのが特徴。動画の書き出しも速く、データ処理中に落ちることもない非常に安定したデバイスです。



特に純正の「iMovie」は優秀。動画と音声をわけて編集したり、ピクチャ・イン・ピクチャも可能です。参考までに、私が過去に「iPhoneで撮影、iMovieで即編集して、ナレーションを入れ、YouTubeにアップした」動画をご覧ください。







ただ、ふだんの動画編集にMacで「FinalCutPro」を使っている人は、iPad Proでの編集にやや不満が残るかもしれません。というのも、動画編集に便利なApple純正のiOSアプリiMovieには「テロップの自由度」が欠けているからです。







▲どうもシンプルすぎるテロップ...。英語表記ならカッコいいんでしょうけれど。



テロップをSEに合わせてコミカルに転ばせたり、フチをとって目立たせたるのは、アジア圏の文化のよう。iOS版のiMovieには、いつまでたってもこの機能が追加される様子はありません。ただし、AppStoreには、FinalCutに近い状態で「動画にテロップをつけられる」アプリがあります。それが「Vont」。



youthhr「Vont 動画文字入れ」







動画の秒数を確認しながら、好きなところにテロップを配置できます。さらにフリーフォントを配布しているサイトから、フォントをダウンロードして利用可能。これがあれば、ある程度「YouTuber的な」動画編集は可能になりますね。



また、音の波形は見えるものの、切り貼り以外の編集はあまりできません。ノイズを除去したい、複数の音声をあとから組み合わせたいなど、音にこだわるならば、別途集音して組み合わせるのが良さそうです。



動画編集を主にする場合、最大容量の「iPad Pro 10.5」(512GB +iCloud)の2TB契約がオススメ。iCloudには「デバイス本体の容量が足りなくなると、カメラロールにあるデータをサムネイルだけ残してクラウドに自動保存する」という機能があるので、「好きなだけ撮影して好きなだけ保管」ができて安心。



カメラで撮影したデータを取り込むには、Wi-Fiを経由するより、純正のSDカードアダプターが経験上、一番速いのでオススメです。



Lightning - SDカードカメラリーダー


質問5 「デザイン作業はどこまでできる? 」




デザイナーの必須ソフト「Adobe Illustrator」は、残念ながらiPad Proで使うことは出来ません。となると、MacBookなどの母艦が必要です。



ただし、AdobeのiOS用無料アプリはデザイン作業の一旦を担ってくれるでしょう。Webデザイナーならば、簡単な操作でWebサイトのラフを作れる「 Adobe Comp」、写真を扱うならばRAW現像ができる「Adobe Lightroom」、レタッチなら「Adobe Photoshop Fix」など。



Adobe Creative Cloudに加入していれば、iPadで作成したデータを、別のiOSやパソコンで受け取ることができます。「ざっくりした作業を移動中のiPad Proで、細かい作業は帰ってからデスクで」という使い分けがベター。また、イラストを描く作業なら、ApplePencilとiPad Proの組み合わせで、液晶タブレットのような使い方もできますね。







▲ピザのチーズだけを消したい。そんな時ありますよね? 「修復」を使ってササッと‥。



簡易的な作業やレタッチは、Apple Pencilの威力もあって、驚くほど楽にできますが、プロが使う場合は、やはりパソコンの母艦が必要。また、残念ながら「Adobe Illustrator」はiPadでは使えません。



ただ、仕事として納品する訳ではないのなら、iPadも十分活用できます。私は簡単なバナー作成、サムネイル画像まではiPad Proだけで作っています。使うアプリは、先ほどYouTuberの項目で紹介したVontoをリリースしている、youthhrが提供する「Phonto」です。



youthhr「Phonto 写真文字入れ」



 



あくまでも簡易的ではありますが、こんなサムネイルが作れます。テキスト入り画像が必要な時に便利。フォントダウンロードで自由度も増します。


「隙間時間に作業できる」魅力




iPadの魅力は「薄い・軽い・電源長持ち」であること。出先で電源を探す必要がなく、場所を選ばず仕事に入れるので「会社にもどって資料をなおそう」「デスクについてから資料を作ろう」と、オンオフを切り替える必要がありません。



私の場合「仕事を後回しにしなくてよくなった」「隙間時間に作業できるようになった」のがとても嬉しいポイントでした。移動中にほとんどのことを処理できるので、睡眠時間も、遊ぶ時間も確保できます。



iPad Proで仕事する! と決めても、慣れるには少々時間が必要。でもそれは、新車に変えたあとの戸惑いと同じ。ハンドリングやアクセルの加減を覚えれば、うまく乗りこなせる、使いこなせるようになるでしょう。



※なお、「こんな使い方ができるのか」というご質問あれば、Twitter @yuzukihiromi に呼びかけてください。次回の原稿で質問に答えていこうと思います。お気軽にどうぞ。

この記事へのコメント